日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
肝内胆管癌術後,幽門狭窄にて発症した胃転移の1例
柳橋 浩男貝沼 修山本 宏滝口 伸浩鍋谷 圭宏早田 浩明趙 明浩池田 篤有光 秀仁伊丹 真紀子
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2014 年 47 巻 10 号 p. 571-579

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抄録

 症例は68歳の女性で,2008年1月に肝内胆管癌にて拡大肝右葉切除,尾状葉切除,胆管切除術を受けた.病理組織学的検査所見は中分化型腺癌pT3N0M0 Stage IIIであった.術後補助化学療法にgemcitabine+cisplatinを8コース施行したが,2008年12月よりCA19-9上昇,腹水貯留を認めた.腹水細胞診は陰性,画像検索では再発部位は特定できなかった.後治療にS-1を投与したが骨髄抑制にて断続的な投与となり2010年9月より経口摂取困難となった.上部消化管内視鏡検査にて幽門狭窄を認めたが粘膜面に腫瘍は認めず,CTで幽門全周性に壁肥厚を認めた.胃癌または肝内胆管癌の胃転移を疑い,幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的検査所見,免疫染色検査は同一であり,肝内胆管癌の胃転移と診断された.肝内胆管癌術後再発は残肝,リンパ節,腹膜などだが,胃転移は検索しえた範囲では報告例はなく非常にまれである.

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