日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
肝血管筋脂肪腫との鑑別を要した高度脂肪化を伴う単純結節周囲増殖型肝細胞癌の1例
本多 正幸高橋 進一郎小林 達伺佐原 八束加藤 祐一郎後藤田 直人小嶋 基寛小西 大
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2014 年 47 巻 10 号 p. 588-595

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抄録

 症例は68歳の男性で,9か月前に前医で肝S8に腫瘤を指摘された.血管筋脂肪腫(angiomyolipoma;以下,AMLと略記)疑いにて経過観察となっていたが,PIVKA-IIの上昇を認め当院へ紹介となった.CTでまだら状に緩徐に造影される5 cm大の腫瘍性病変を認め,早期濃染し平衡相でwash outされる小結節性病変が隣接していた.MRIで主腫瘍の内部に脂肪成分が示唆された.以上より,AML+肝細胞癌もしくは肝細胞癌を疑い,肝部分切除術を施行した.腫瘍は組織学的に高度な脂肪化を伴う主結節と,脂肪化を伴わない衛星結節からなる中分化型肝細胞癌と診断した.高度脂肪化を伴う大型肝細胞癌の報告は少なく,主結節と異なる性状の衛星結節を伴う肝細胞癌の報告はまれである.高度な脂肪化を伴いAMLとの術前鑑別が必要であった肝細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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