抄録
症例は51歳の男性で,胸部下部食道に2型腫瘍を認めた.生検で一部にCD56,chromogranin A,synaptophysin陽性の低分化な腫瘍細胞が見られ,内分泌分化を伴う低分化食道扁平上皮癌,LtAe,2型,cT3N2M0,cStage IIIの診断となった.食道扁平上皮癌に準じ術前化学療法5-FU+CDDP 2コース施行後に,右開胸開腹食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建,両側頸部郭清を施行した.病理組織学的検査所見では食道内分泌細胞癌と低分化食道扁平 上皮癌の混合型,CT-pT2(MP),pN1(1/56),CT-pStage II,grade 1aの診断となった.術後5-FU+CDDP 2コースを追加し現在術後54か月無再発生存中である.食道内分泌細胞癌と扁平上皮癌の混合型癌はまれな食道悪性腫瘍であり,文献的考察を加え報告する.