日本消化器外科学会雑誌
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編集後記
編集後記
新地 洋之
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2015 年 48 巻 2 号 p. en2

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寒冷の候,皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます.

私は2013年9月より編集委員を拝命し,早1年4か月が過ぎました.当初,学会事務局まで赴き,face-to-faceでの編集委員会でしたが,2014年5月よりWeb会議が導入されました.編集委員の先生方と直接お会いできない寂しさを感じますが,遠方の鹿児島で勤務する私にとって,時間が大幅にセーブされとてもありがたいシステムになりました.

さて,編集委員として毎月数編の投稿論文を査読させていただいております.十分洗練された質の高い論文も多く,私自身も大いに勉強させていただいております.投稿される先生方は多忙な外科業務の傍ら,その合間を縫って高いモチベーションを持って執筆されていることと思います.論文作成はとても根気のいる多大な時間と労力を有する作業です.改めて敬意を表したいと思います.

論文を査読して最近感じることは,投稿された論文を採択するか否かを判断するうえで「希少性」,「新知見」も大事な要素ですが,最も重要なポイントは著者の熱意のような気がします.すなわち,いかに手間がかかった論文を作成しているかです.妥協せず徹底した文献検索を行い,それを表にまとめ,そこまで考察するかとうならせる論文は,著者の熱意が十分伝わってきて何とか採択できるようサポートしたくなります.

はるか昔ですが,私は入局2年目の頃,関連病院で研修中に「何故,外科医が論文を書く必要があるのか?」と上司に尋ねたことがあります.すると,上司は外科医の資質の3要素といわれる「手術適応」,「手術のタイミング」,「術式の選択」を磨くうえで,論文を書けば必ずと分かると即答されたことを記憶しております.その後1年かけて,何度も上司の推敲を受けながらやっと症例報告を1編書きあげ,外科系雑誌に採択されました.まもなく掲載され,別冊を受け取ったときの感動を今も忘れません.身をもって論文執筆の重みを知りました.以来,数,内容ともに大したことはありませんが,日々の臨床の問題点をまとめ考察し,論文化することを心がけてきました.地道にコツコツと我慢強く行う論文作成作業のおかげで,人間力および外科学に対する見識,手技が向上したのは確かです.

若い先生方は日々多忙で疲弊することも多いですが,それに負けることなくぜひ論文を書いてください.私も1編でも多く採択されるよう熱意を持ってお手伝いしていきたいと思います.

今月号には13 編という多くの興味深く,示唆に富む症例報告が掲載されています.どれも日常診療に大いに役立つ内容の論文ばかりですので,ぜひご一読いただければ幸いです.

(新地 洋之)

2015年2月1日

 

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