日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胃壁に発生した気管支原性囊胞の1例
土井 雄喜大島 貴菅野 伸洋林 茂也木村 準吉川 貴己利野 靖大谷 方子國崎 主税益田 宗孝
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キーワード: 気管支原性囊胞,
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2015 年 48 巻 5 号 p. 399-406

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抄録

 症例は57歳の女性で,胸背部痛を主訴に受診した.CTにて胃壁に連続する40 mm大の腫瘤を認め,胃粘膜下腫瘍を疑い超音波内視鏡検査を施行した.超音波内視鏡検査では,食道胃接合部の粘膜下に境界明瞭で内部均一な低エコーを呈する壁外に突出する病変として認められ,さらに精査目的で施行したMRIでは,腫瘍内部は均一でT1強調画像で著明な高信号を呈し,T2強調画像では淡い高信号を呈していた.以上から,内腔に粘調な液体を伴った囊胞状の腫瘍と診断し,腹腔鏡下に病変を切除した.切除標本は壁に厚みのある囊胞状で,内部には褐色で粘調度の高い液体を認めた.病理組織学的検査所見にて壁の内側が多列円柱線毛上皮に被われていることから,気管支原性囊胞と診断した.気管支原性囊胞が胃壁に発生することは比較的まれであるが,悪性化の可能性もあるため,切除すべき鑑別疾患の一つとして本疾患を認識しておく必要があると考えられた.

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