日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
正常肝に発生した細胆管細胞癌の1例
北見 智恵河内 保之五十嵐 俊彦牧野 成人西村 淳川原 聖佳子新国 恵也原田 憲一
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2016 年 49 巻 10 号 p. 1006-1015

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抄録

 症例は65歳の女性で,腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.ダイナミックCTで肝S5に18 mm大の辺縁は早期に中央は遅延造影される腫瘤を認め内部に門脈枝が貫通していた.良性疾患として経過観察されたが9か月後腫瘤が24 mmと増大し手術の方針となった.血液生化学検査所見ではCA19-9 83.7 U/mlと上昇,HBV-Ag(−),HCV-Ab(−)であった.肝S5部分切除を行った.病理学的所見は胆管上皮類似の腫瘍細胞が豊富な間質を伴いつつ管状,樹枝状に増殖,内部に既存の門脈域が埋没し,免疫組織染色検査ではCK7,CK19,NCAM陽性,Hep-Par1,AFP陰性,EMAが腺管構造の腺腔で膜状に染色され細胆管細胞癌と診断された.背景肝に慢性肝疾患の像は認めなかった.細胆管細胞癌は比較的まれな腫瘍で慢性肝障害を背景として発症することが多いとされている.正常肝に発症した1例を経験したので報告した.

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