日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
大腿へルニア嵌頓の用手的還納後に腸間膜仮性動脈瘤を形成した症例に対し,腹腔鏡下ヘルニア根治術を施行した1例
中西 亮中村 隆俊ウッドハムス 玲子藤田 翔平横田 和子海津 貴史山下 継史田島 弘山梨 高広渡邊 昌彦
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2016 年 49 巻 12 号 p. 1268-1274

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抄録

 症例は68歳の男性で,全身性エリテマトーデス,血管炎の診断で通院中に腹痛を主訴に当院救命センター受診した.腹部単純X線検査で小腸ガスを認めたため,腹部造影CTを施行し右大腿ヘルニア嵌頓と診断し,用手的還納後に経過観察目的に入院した.腹痛が再度生じたので腹部造影CTを施行し,小腸腸間膜動脈の仮性動脈瘤の形成と骨盤腔に高吸収性の腹水を認め,腹腔内出血を疑った.Hb 7.9 g/dlまで低下し,赤血球濃厚液を2単位投与するも貧血が進行するため腹部血管造影検査を施行した.上腸間膜動脈からの造影にて,回盲部の仮性動脈瘤より出血所見を認めたのでコイル塞栓術を行った.全身状態安定後に大腿ヘルニアに対し,腹腔鏡下ヘルニア根治術を行った.大腿ヘルニア嵌頓の用手的還納に腸間膜仮性動脈瘤を形成した症例に対し腹腔鏡下ヘルニア根治術を行ったのは極めてまれであるため報告する.

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