日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
脳死肝移植術施行までに登録後11年を要したBudd-Chiari症候群の1例
大橋 朋史富丸 慶人丸橋 繁友國 晃浅岡 忠史和田 浩志江口 英利土岐 祐一郎森 正樹永野 浩昭
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2016 年 49 巻 3 号 p. 185-191

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抄録

 症例は44歳の女性で,24歳時にBudd-Chiari症候群と診断され,経過観察されていた.34歳時に肝硬変の進行のため,脳死肝移植登録(医学的緊急度:3点)を行った.その後,11年の移植待機後,44歳時に肝機能悪化に伴い医学的緊急度を3点から6点にランクアップし再登録した.その約1か月後に脳死ドナーが発生し,脳死肝移植術を施行しえた.手術から1年経過した現在,肝機能を含め全身状態良好で,外来経過観察中である.本症例では脳死肝移植を施行することが可能であったものの,欧米と比較して移植待機期間は極めて長いものであった.この長期待機期間は本邦における脳死ドナー不足によるものであり,脳死移植医療における現在の深刻な問題であると考えられた.

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