日本消化器外科学会雑誌
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49 巻, 3 号
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症例報告
  • 菊池 真維子, 中島 政信, 高橋 雅一, 里村 仁志, 岡本 健太郎, 山口 悟, 佐々木 欣郎, 山岸 秀嗣, 三富 弘之, 加藤 広行
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 169-176
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     18 cmのlong segment Barrett’s esophagus(以下,LSBEと略記)を背景に,その全域に発生したBarrett食道癌を経験した.症例は63歳の男性で,前医にて中部食道に潰瘍性病変を指摘され当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査では切歯より24 cmから42 cmに至るLSBEを認め,29 cmの部位に3型病変を認めた.生検結果は腺癌(tub2)であり,精査を行いBarrett食道癌MtLt,type3,cT3,cN0,cM0,cStage IIと診断し手術を施行した.病理組織学的検査では長径18 cmに及ぶLSBEと,4 cmの3型病変(T2)に併存したLSBE全域に及ぶ粘膜内癌を認めた.本邦ではLSBEの報告はまれであるが,今後LSBEやBarrett食道癌の増加が懸念される.今回,LSBE全域が癌化したまれな症例を経験したので報告する.
  • 姚 思遠, 三上 栄, 三上 隆一, 多田 陽一郎, 塩津 聡一, 池田 篤志, 村上 哲平, 池田 宏国, 原田 武尚, 山本 満雄
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 177-184
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     上腸間膜動脈症候群は腹部大動脈と上腸間膜動脈の成す角度が狭小化していることによって,十二指腸水平脚が圧迫されて通過障害を来す疾患である.開腹で行うバイパス術を経て,現在は腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術が最も広く行われている外科的治療法となっている.症例は20歳の女性で,17歳のときに上腸間膜動脈症候群と診断された.以来,保存的加療にて経過を見ていたが,良好な結果を得られなかった.若年女性であるという点を考慮して,術創を最小限に留めるために単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行した.術中および術後経過はともに良好であった.今回,我々は上腸間膜動脈症候群に対する単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行したのでここに報告する.本術式は,美容の面で若年女性にとって有用となりうると考えている.
  • 大橋 朋史, 富丸 慶人, 丸橋 繁, 友國 晃, 浅岡 忠史, 和田 浩志, 江口 英利, 土岐 祐一郎, 森 正樹, 永野 浩昭
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 185-191
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は44歳の女性で,24歳時にBudd-Chiari症候群と診断され,経過観察されていた.34歳時に肝硬変の進行のため,脳死肝移植登録(医学的緊急度:3点)を行った.その後,11年の移植待機後,44歳時に肝機能悪化に伴い医学的緊急度を3点から6点にランクアップし再登録した.その約1か月後に脳死ドナーが発生し,脳死肝移植術を施行しえた.手術から1年経過した現在,肝機能を含め全身状態良好で,外来経過観察中である.本症例では脳死肝移植を施行することが可能であったものの,欧米と比較して移植待機期間は極めて長いものであった.この長期待機期間は本邦における脳死ドナー不足によるものであり,脳死移植医療における現在の深刻な問題であると考えられた.
  • 佐藤 龍一郎, 柴田 近, 岩指 元, 向田 和明, 児山 香, 中村 隆司
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 192-198
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     十二指腸潰瘍の胆囊壁穿通による胆囊炎は,本邦で1例の保存加療例の報告があるのみである.症例は81歳の男性で,既往症は糖尿病,高血圧,慢性閉塞性肺疾患であった.腹痛,血圧低下,著明な貧血の進行を認め,緊急上部内視鏡検査で出血性十二指腸潰瘍を認め止血した.CTでは十二指腸壁の途絶と胆囊壁内の異常ガス像を認めた.腹腔内に遊離ガス像は認めず,絶食,抗生剤により保存的に加療した.止血13日後に発熱し,CTでは胆囊気腫は拡大,胆囊壁は全周性に肥厚し漿膜側が強く造影され,胆囊炎の診断で手術となった.腹腔内を観察すると,胆囊は腫大し壁は赤褐色であった.十二指腸と胆囊の間は容易に剥離できた.十二指腸穿孔部の炎症性変化はごく軽度で,胆囊は漿膜が欠損していたが穿孔の所見は認めなかったことより,胆囊摘出術,十二指腸瘻孔部大網充填術を腹腔鏡下に施行した.病理学的には組織融解を伴う壊疽性胆囊炎で壁内に真菌を認めた.
  • 坂本 武也, 土屋 嘉昭, 野村 達也, 松木 淳, 丸山 聡, 中川 悟, 瀧井 康公, 藪崎 裕, 本山 展隆, 川崎 隆
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 199-206
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は63歳の男性で,他科定期受診の際にCEA高値を認めた.原因検索のためCTを施行したところ,胆囊頸部から胆囊管にかけて内腔を充満する隆起性腫瘍を認めたため当科紹介となった.早期胃癌術後フォローアップのCTで12年前から同病変は描出されており,緩徐に増大し現在に至っていた.胆囊床切除,胆囊摘出術,肝外胆管切除,肝十二指腸間膜リンパ節郭清を施行した.切除標本上は胆囊管に限局する乳頭膨張型の6.0×4.0×2.0 cm大の腫瘍を認めた.病理組織学的には高分化型管状腺癌で,壁深達度は繊維筋層にとどまる早期胆囊管癌であった.線維性芯を有し,乳頭状増生を示したことから,その前癌病変は胆囊内乳頭状病変(intracystic papillary neoplasm of the gallbladder;ICPN)であると推察された.胆道内乳頭状腫瘍の発生から癌化,浸潤癌に至るまでの自然史を知るうえで,示唆に富む症例と考えられたため報告する.
  • 上向 伸幸, 高橋 智昭, 中島 隆宏, 小林 敦夫, 平野 進, 長堀 優, 宇高 直子, 遠藤 格
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 207-215
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は64歳の男性で,黄疸と肝・胆道系酵素の上昇を認め当院紹介となった.腹部CTでびまん性の膵腫大と肝門部から総胆管にかけての壁肥厚と下部胆管の狭窄を認めた.IgG4は254 mg/dlと高値であり,自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎と診断したが胆管癌の鑑別も必要と考え胆汁細胞診を行い,Class IVが得られた.胆管癌を念頭におきつつステロイド治療を開始した.14日後のERCPで肝門部の狭窄は改善したが,下部胆管に一部不整な局面を伴うなだらかな狭窄を認め,細胞診でClass Vが得られた.下部胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的検査所見は膵臓・胆管に高度のリンパ球・形質細胞浸潤と中等度の線維化を認め,深達度ssの下部胆管癌を認めた.今回,ステロイド治療によりその局在を術前診断しえたIgG4関連硬化性胆管炎に併発した胆管癌の1例を経験したので報告する.
  • 寺田 立人, 古澤 徳彦, 小林 聡, 横山 隆秀, 清水 明, 酒井 宏司, 北川 敬之, 荒居 琢磨, 代田 智樹, 宮川 眞一
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 216-224
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     患者は72歳の女性で,糖尿病加療のため近医通院中に,半年間で10 kgの体重減少を認めた.腹部CTで膵腫瘍を指摘され,精査目的に当院を紹介された.腹部造影CTならびに腹部造影MRIでは,膵体部に淡い造影効果を呈する3 cm大の腫瘤と,腫瘤から連続して主膵管内に進展し管内を占居する腫瘍陰影を認めた.ERPでは,膵頭部にカニ爪状の主膵管閉塞像を認めた.会陰,膝関節を中心に壊死性遊走性紅斑を認めた.血液検査では,正球性貧血と低蛋白血症を認め,血中グルカゴン値は1,730 pg/mlと高値であった.以上より,主膵管内進展を伴う膵グルカゴノーマの診断で膵体尾部切除術を施行した.切除標本では,膵頭部に至る腫瘍の主膵管内進展を認めた.免疫組織学的検査所見は,chromogranin A陽性,synaptophysin陽性,glucagon陽性,Ki-67 labelling index 1.7%であり,神経内分泌腫瘍,G1と診断した.膵神経内分泌腫瘍が主膵管内に進展して発育することはまれであり報告する.
  • 北田 浩二, 稲垣 優, 梶岡 裕紀, 徳永 尚之, 岩垣 博巳, 園部 宏
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 225-233
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は73歳の女性で,腹痛・嘔吐を主訴に2012年9月当院を受診した.膵酵素の上昇,膵尾部の腫大・毛羽立ち像とその中枢側に14 mm大の腫瘤を認め,腫瘍随伴性急性膵炎と診断した.擦過細胞診で低分化腺癌を認め,膵体尾部切除を施行した.出血を伴う充実性腫瘍で,膵管癌の成分とともに反応性の多核巨細胞を交えた膵退形成癌(破骨細胞様巨細胞型)であった.2014年5月,残膵に占居性病変が出現したものの,再発の診断には至らず,慎重に観察していた.2014年11月,膵酵素の上昇を伴う腹痛を自覚した.残膵の腫瘤は増大,擦過細胞診で多核化した腫瘍細胞を認めた.残膵再発と診断し,2014年12月,残膵全摘を施行した.病理組織学的にも退形成癌の再発であることが示された.急性膵炎をじゃっ起する膵癌は多くはない.さらに,退形成癌は比較的まれで,かつ予後不良とされており,初回手術後に再発巣の再切除が可能であった例は極めてまれである.
  • 佐々木 一憲, 高橋 知秀, 河野 悟, 若林 正和, 藤平 大介, 小池 卓也, 原 英則, 船津 健太郎, 保刈 岳雄, 相崎 一雄
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 234-241
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は73歳の女性で,腹部不快感を主訴に受診し,膵頭部癌と診断された.腹部単純CTにて腹腔動脈起始部に石灰化を伴う狭窄像を認めた.腹部造影CTでは正中弓状靭帯狭窄に特徴的な“hooked appearance”は認めず,血管造影では腹腔動脈の狭窄と,上腸間膜動脈から膵アーケード,胃十二指腸動脈から固有肝動脈への求肝性血流,総肝動脈および脾動脈への遠肝性血流を認めた.狭窄の成因として動脈硬化や外因性圧迫の可能性も考え,膵頭十二指腸切除術を施行した.腹腔動脈起始部の索状物切離を行ったが,最終的に肝動脈血流の改善はなく,消化管再建後,右総腸骨動脈-総肝動脈に大伏在静脈にてバイパス術を施行し,術後経過は良好であった.本例では術中に超音波ドプラによる肝内肝動脈血流測定することで,肝血流を簡易かつ安定性を持って評価できた.本疾患の存在を術前に把握することが重要であり,動脈血行再建の準備下に手術に臨むことが肝要である.
  • 田中 涼太, 阿古 英次, 亀谷 直樹, 加藤 幸裕, 河本 真大, 金原 功, 山本 篤, 山田 靖哉, 西村 重彦, 妙中 直之, 藤田 ...
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 242-249
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例は64歳の男性で,排便時の出血を主訴に近医受診,精査加療目的にて当科紹介受診となった.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に表面不整のI型腫瘍を認め,生検で高分化型腺癌と診断された.胸腹部造影CTでは明らかなリンパ節転移や遠隔転移を認めず,腹腔鏡下S状結腸切除術,D2郭清術を施行した.病理組織学的検査所見では異型細胞が微小乳頭状構造を形成し,間質との間に空隙を伴う浸潤性微小乳頭癌(invasive micropapillary carcinoma;以下,IMPCと略記)の像を呈した.最終診断はS状結腸原発のIMPC,pT2(MP),N1,M0:fStage IIIaであった.術後経過は良好であり,現在は外来通院にてUFT+LVによる術後補助化学療法施行中である.IMPCは最初に乳癌で報告されて以来,他臓器での報告も増加してきているが大腸原発のIMPCの報告例は比較的少ない.また,発生臓器にかかわらず高率にリンパ管侵襲やリンパ節転移を伴うことから予後不良であり,治療上注意が必要である.
  • 丸山 博行, 小泉 大, 高橋 大二郎, 太白 健一, 村橋 賢, 清水 徹一郎, 遠藤 和洋, 藤原 岳人, 佐田 尚宏, 安田 是和
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻3 号 p. 250-257
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/18
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     症例1は76歳の男性で,突然の下腹部痛と嘔気を主訴に救急搬送された.CTで右下腹部に腸管壁の造影不良な拡張した小腸ループと右陰囊水腫を認め,絞扼性イレウス・右陰囊水腫と診断し,緊急手術を行った.ヘルニア囊は腹膜前腔に存在し右内鼠径輪で小腸が絞扼され鼠径ヘルニア偽還納と診断した.小腸部分切除とヘルニア門縫縮を行った.症例2は60歳の男性で,午前8時頃より腹痛,嘔吐があり,右鼠径部膨隆を自己還納したが症状軽快せず,午後4時救急搬送された.CTで右下腹部,鼠径部近傍に小腸ループを認め,右鼠径ヘルニア偽還納と診断し緊急手術を行った.右内鼠径輪で小腸が絞扼され,ヘルニア囊は腹膜前腔に存在し鼠径ヘルニア偽還納と診断した.小腸を腹腔内に引き出し腹膜前腔にメッシュを留置しヘルニア修復を行った.鼠径部ヘルニア偽還納本邦報告例19例に自験例を含め報告する.
特別寄稿
編集後記
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