2016 年 49 巻 7 号 p. 666-672
症例は68歳の女性で,切除境界膵体尾部癌と診断され,術前化学放射線療法(第I相臨床試験)の方針となった.導入化学療法としてgemcitabine(以下,GEMと略記:1,000 mg/m2)・nab-paclitaxel(125 mg/m2)を投与し(3投1休/4週 × 2コース),続いてGEM・nab-paclitaxel併用化学放射線療法を行った.放射線として60 Gy(25 fr)を照射し,併用化学療法としてGEM(600 mg/m2)・nab-paclitaxel(50 mg/m2)(投与量レベル2)を4回投与した.術前化学放射線療法終了後の画像検査にて原発巣は著明な縮小を認め,腹腔動脈合併尾側膵切除・左副腎合併切除および術後肝灌流化学療法(5-FU:250 mg/body×28日)を施行した.病理組織像は広範囲の線維化を認めるのみでviableな腫瘍細胞は認められずcomplete responseと判定された.