日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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49 巻, 7 号
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原著
  • 佐藤 太一, 山田 一隆, 緒方 俊二, 辻 順行, 岩本 一亜, 佐伯 泰愼, 田中 正文, 福永 光子, 野口 忠昭
    原稿種別: 原著
    2016 年49 巻7 号 p. 579-587
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     目的:痔瘻癌の臨床病理学的検討を行った.方法:1997年から2014年までに経験した痔瘻癌25例の臨床病理学的特徴と治療成績を検討した.結果:平均年齢は58歳(34~82歳),男性23例,女性2例であった.痔瘻癌の診断までの痔瘻罹病期間は中央値12年(1~50年)で,7例がクローン病合併例であった.確定診断に至った方法は,腰椎麻酔下生検が14例,内視鏡下生検が6例,局麻下生検が3例,細胞診が1例,開腹手術中の迅速組織診が1例であった.確定診断までの検査回数は平均2回(1~4回),診断までに要した検体数は平均7個であった.14例に腹会陰式直腸切断術,10例に骨盤内臓全摘術,1例にハルトマン手術が行われた.組織型は粘液癌が68%,リンパ節転移陽性症例が40%,4例に鼠径リンパ節転移を認めた.全25例における5年生存率は45.8%であった.根治度別にみると,根治度AB症例は根治度C症例と比べて有意に予後良好であった(P<0.0001).クローン病合併の有無で痔瘻癌を2群に分けて臨床病理学的因子を比較したが,クローン病合併例は癌診断年齢が有意に若いこと以外,2群間で有意差を認めなかった.結語:長期の難治性痔瘻症例は臨床症状の変化,悪化に着目し,痔瘻癌が疑われた場合は,積極的に生検組織診断を繰り返し行うことが重要である.切除可能な症例に対しては完全切除を目指した積極的な拡大手術が望まれる.
  • 小島 康知, 原野 雅生, 徳本 憲昭, 岡島 正純
    原稿種別: 原著
    2016 年49 巻7 号 p. 588-593
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     目的:高齢者の悪性腫瘍に対する手術は,根治性とともに術前の機能状態へ早期回復できるような治療方針を考慮すべきと考えられる.しかし,手術侵襲が長期予後に影響を与えるか検討された報告は少ない.そこで周術期の侵襲度評価にestimation of physiologic ability and surgical stress (以下,E-PASSと略記)scoring systemを用いて,手術侵襲が高齢者大腸癌の長期予後に与える影響を検討した.対象と方法:2007年1月から2009年12月までに手術を施行した,腫瘍占居部位が盲腸から直腸S状部(RS)までの75歳以上,根治度A切除が可能であった83例を対象とした(多発癌,緊急手術症例は除外した).E-PASS scoring systemの総合リスクスコア(comprehensive risk score;以下,CRSと略記)を用いて手術侵襲を評価し検討した.結果:CRS高値群はCRS低値群に比較して周術期合併症が増加し,自宅退院率が低下し,5年生存率も有意に低かった.結語:高齢者大腸癌手術において,E-PASS scoreから侵襲度を評価して長期予後を検討すると,周術期の侵襲が短期予後のみでなく長期予後にも影響を与える可能性が示唆された.
症例報告
  • 松木 裕輝, 清水 哲也, 山本 悠史, 杉政 奈津子, 坂本 里紗, 齊藤 修治, 松田 悟郎, 関戸 仁
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 594-601
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は24歳の男性で,墜落外傷による頸椎脱臼骨折に対して,自家骨移植を伴う頸椎前方固定術を施行した.術後2週間で頸部皮下膿瘍を認めたため,切開排膿ドレナージを行ったところ,唾液様の排液を認めたため食道穿孔が疑われた.食道造影で造影剤の膿瘍腔への漏出を認め,食道穿孔の診断で緊急手術を施行した.椎体前面に移植された骨片は前方に脱転しており,骨片の大きさに一致して長径3 cmの食道穿孔を認めた.移植骨による圧挫が原因の穿孔が疑われたため,整形外科医師に依頼し骨片は除去の方針とし,穿孔部の単純全層縫合術および洗浄ドレナージを施行した.術後縫合不全を来し保存的加療を有したものの,経口摂取が可能になるまで回復した.頸椎前方固定術に合併した食道穿孔の報告例はまれであり,報告する.
  • 井上 綾乃, 奥芝 俊一, 才川 大介, 山本 和幸, 鈴木 善法, 川原田 陽, 北城 秀司
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 602-607
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は67歳の男性で,検診で食道癌と診断された.T2N2M0,Stage IIIの診断で術前化学療法の後,胸腔鏡下食道亜全摘術,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建を施行した.術後肺炎を併発したが改善し術後19日目に退院となった.外来通院中,術後49日目に突然下半身の脱力が出現した.救急搬送され,来院時には両下肢麻痺と知覚障害を認めた.MRIでTh1~2にかけての化膿性脊椎炎と,同部位の腹側から脊髄を圧迫するhigh intensityを認め,硬膜外膿瘍の診断で緊急椎弓形成,減圧ドレナージを施行した.早期からリハビリテーションを開始し後遺症なく経過している.集学的治療が施行された進行食道癌は,患者への侵襲は過大で合併症の発症率も高い.今回,我々は臨床症状に乏しい縫合不全から49日を経て脊髄硬膜外膿瘍を発症し,後遺症なく改善した非常にまれな1例を経験したので報告する.
  • 古川 聖太郎, 楢崎 肇, 中山 智英, 市村 龍之助, 岡村 圭祐, 藤田 美芳, 森田 高行, 平野 聡
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 608-616
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は消化管ポリポーシスの家族歴のない54歳の女性で,36歳時の上部消化管内視鏡検査で初めて胃ポリープを指摘された.それ以降,胃十二指腸ポリープが出現,増大した.徐々に貧血と低蛋白血症が進行し,薬物療法が奏効せず,54歳時に手術が必要と判断した.病変は噴門部から十二指腸下行脚まで連続して存在し,空腸以下に病変を認めないため,胃全摘,十二指腸球部切除術を施行した.摘出標本では大小多数のポリープが集簇し,組織学的にCronkhite-Canada型と診断した.十二指腸に小ポリープが遺残したが,速やかに症状は改善し,術後3年6か月現在,症状は再燃していない.一般に薬物療法によるポリポーシスの根治は困難で,有症状例には外科手術が有効な症例もある.ポリープに悪性所見を認めない場合,全ての粗大ポリープを含む可及的小範囲の切除とし,術後は症状再燃に注意し,厳重経過観察することも選択肢の一つとなりうる.
  • 須藤 隆之, 梅邑 晃, 中村 聖華, 眞壁 健二, 遠藤 史隆, 原田 一穂, 新田 浩幸, 上杉 憲幸, 菅井 有
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 617-624
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     今回,我々は胃gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)術後に肝,骨,リンパ節転移を認め,イマチニブが一度は奏効したが,肝臓に部分耐性を認め肝切除術を行った症例を経験したので報告する.症例は82歳の男性で,2008年上部消化管内視鏡検査にて胃噴門部大彎に粘膜下腫瘍を認め,GIST疑いで噴門側胃切除術を施行した.術後病理検索にてGISTの診断となった.術後1年のPETにて多発性肝,骨,リンパ節転移の診断となり,イマチニブを内服開始した.内服4年後のCT,PETにて肝臓S5の腫瘍のみ増大しており,胃GIST術後部分耐性の診断となり,肝S5亜区域切除術を施行した.術後23病日退院となった.現在,イマチニブ内服中で肝切除術後1年6か月寛解状態にて生存中である.イマチニブに対する部分耐性病変への手術療法は,予後改善の可能性があると思われた.
  • 粟根 雅章, 三浦 歓之, 滝 吉郎, 河合 潤
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 625-632
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は58歳の男性で,1974年(21歳時)に平滑筋肉腫のため幽門側胃切除術を受けた後,腹腔,縦隔に播種性腫瘍を有しながら無症状で36年が経過した.2010年腹腔内腫瘍の一部が急激に増大し腸閉塞を来して再入院となった.初発の平滑筋肉腫の標本を再検したところKIT陽性であり,播種性胃gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)の再燃と診断した.腸閉塞解除目的に腫瘍切除,小腸切除を施行した.古い病変は囊胞状だったが,新腫瘍は多血性かつ充実性で浸潤傾向が著明であった.組織学的検討ではKIT弱陽性であり脱分化GISTと診断された.KIT,血小板由来成長因子受容体α(PDGFRA)遺伝子は野生型であった.イマチニブ投与にかかわらず切除後8か月後に原病死した.若年発症のGISTは成人GISTと異なる疾患群とされ転移があっても長期生存することがある.長期経過を知るうえで極めて興味深い症例と思われた.
  • 梶岡 裕紀, 稲垣 優, 北田 浩二, 德永 尚之, 岩垣 博巳, 園部 宏
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 633-640
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は77歳の女性で,血便を主訴に近医を受診した.精査にて直腸癌を指摘され,2014年8月に直腸癌に対して手術施行された.この術前より肝腫瘤を指摘されていたため,切除目的に当科紹介となった.腹部造影CTでは肝臓S8にring enhancementを伴う11 mm大の結節影を認めた.Ethoxybenzyl-MRI(EOB-MRI)ではT1 強調像で低信号,T2強調像で高信号,拡散の低下を認め,肝細胞相で低信号を呈した.同病変はFDG-PETにても集積の亢進を認めたため,転移性肝癌に矛盾しない所見であり,術前診断は直腸癌同時性肝転移とした.手術はS8の肝部分切除術を施行した.病理組織学的検査ではreactive lymphoid hyperplasia(以下,RLHと略記)とされた.肝臓に発生したまれなRLHを経験したため,報告する.
  • 福岡 伴樹, 越川 克己, 真田 祥太朗, 澤木 康一, 大屋 久晴, 西尾 知子
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 641-648
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     肝細胞癌術後に腸間膜内に孤立して再発を来した症例はこれまでに本邦では報告されていない.今回,我々は肝切除後13年の経過の後に腸間膜に独立して再発した1例を経験したので報告する.患者は82歳の男性で,69歳時に肝細胞癌で肝右3区域切除術の既往があり,78歳時に早期胃癌に対して当院で幽門側胃切除術を施行した.肝切除術の約13年後に貧血が出現し腹部造影CTを行うと,回結腸動静脈領域の腸間膜内に多発する腫瘍を認め回結腸静脈腫瘍栓を伴っていた.支配領域の回腸に鬱血を認めたが腫瘍性病変は明らかではなかった.診断,治療の目的で外科的切除を行った.回結腸静脈内の腫瘍栓を摘出し動静脈を根部で切離,腫瘍が存在する範囲の腸間膜と支配領域の腸管の切除を行った.腫瘍は一部が回腸内腔に自潰しており貧血の原因と考えられた.切除した腫瘍は病理組織学的検査で肝細胞癌の転移であり既往の肝細胞癌の組織像と類似していた.
  • 奥野 貴之, 本田 五郎, 倉田 昌直, 小林 信, 坂元 克考, 比島 恒和
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 649-656
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は82歳の男性で,近医で肝機能障害を指摘され当院紹介となった.肝炎ウィルスは陰性でアルコール多飲歴はなかった.腹部造影CTで肝門板の左頭側に造影効果の低い35 mmの腫瘤影と左肝内胆管の拡張を認め,左肝動脈,門脈左枝への浸潤を認めた.胆道造影CTで右肝管本幹から上部肝管にかけて狭窄を認め,左葉の肝内胆管は全く造影されなかった.左肝管からの胆管内進展を伴う肝門部胆管癌の術前診断で拡大肝左葉切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では腫瘍の大半は横紋筋芽細胞からなり一部横紋筋へと分化し,辺縁には肝細胞癌の多発小結節病変を認め肝癌肉腫と診断された.肉腫成分は広範な胆管内進展を伴っていた.術後6年無再発経過観察中である.肝癌肉腫はこれまで38例の報告があり,予後不良の疾患であるが術後無再発生存例も散見される.肝癌肉腫に胆管内進展を伴う報告は本例を含めて2例のみであった.
  • 新妻 徹, 浅井 浩司, 渡邉 学, 松清 大, 齋藤 智明, 石井 智貴, 中村 陽一, 斉田 芳久, 横内 幸, 草地 信也
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 657-665
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は75歳の女性で,13年前に上行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行された.その後,近医にて外来経過観察をされていたが,今回の定期検査にて腫瘍マーカーの上昇を認め,腹部CTを施行したところ膵尾部に腫瘤性病変を認められたため精査加療目的にて当科紹介となった.諸検査施行後に膵尾部癌の術前診断のもとD2リンパ節郭清を伴う尾側膵切除術を施行した.術後経過は良好にて術後第27日目に退院となった.最終病理組織学的検査所見では,膵腫瘤の組織型は上行結腸癌と同様に高分化型管状腺癌であり,免疫組織学的検査の結果,13年前の上行結腸癌の免疫染色検査の結果と同様であり,異時性発症の転移性膵癌と診断した.退院後24か月経過した現在も再発徴候を認めず外来経過観察を行っている.本症例はこれまでの報告例の中でも最も長期経過後の転移例であり,これまでの転移性膵癌報告例のまとめも含めて報告する.
  • 竜口 崇明, 高橋 秀典, 秋田 裕史, 友國 晃, 小林 省吾, 大植 雅之, 藤原 義之, 矢野 雅彦, 左近 賢人, 石川 治
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 666-672
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は68歳の女性で,切除境界膵体尾部癌と診断され,術前化学放射線療法(第I相臨床試験)の方針となった.導入化学療法としてgemcitabine(以下,GEMと略記:1,000 mg/m2)・nab-paclitaxel(125 mg/m2)を投与し(3投1休/4週 × 2コース),続いてGEM・nab-paclitaxel併用化学放射線療法を行った.放射線として60 Gy(25 fr)を照射し,併用化学療法としてGEM(600 mg/m2)・nab-paclitaxel(50 mg/m2)(投与量レベル2)を4回投与した.術前化学放射線療法終了後の画像検査にて原発巣は著明な縮小を認め,腹腔動脈合併尾側膵切除・左副腎合併切除および術後肝灌流化学療法(5-FU:250 mg/body×28日)を施行した.病理組織像は広範囲の線維化を認めるのみでviableな腫瘍細胞は認められずcomplete responseと判定された.
  • 松井 淳一, 瀧川 穣, 河又 寛, 城戸 啓, 篠崎 浩治, 小倉 正治, 浅原 史卓, 原田 裕久
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 673-682
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は58歳の女性で,2001年膵頭部膵管内乳頭粘液腺癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(pylorus-preserving pancreatoduodenectomy;以下,PPPDと略記),今永法再建を施行した.2005年吐下血があり緊急入院となった.今永法再建術後では内視鏡により胆管空腸吻合部を観察できるため緊急内視鏡検査を行い同部の静脈瘤からの出血を認めた.術後門脈閉塞,門脈圧亢進症が原因の異所性静脈瘤と診断した.内視鏡治療,門脈ステント留置,静脈塞栓術などを行ったが静脈瘤出血を繰り返した.最終的に2006年脾摘,脾・左腎静脈シャント術を行い静脈瘤は消失した.シャント術後約9年間静脈瘤の再燃や肝性脳症を認めず健存中である.PPPD術後門脈閉塞による胆管空腸静脈瘤出血を内視鏡的に診断しえた症例であり,手術後の本症に対して本シャント術は安全,有用な治療選択肢の一つと考えられた.
  • 太白 健一, 小泉 大, 高橋 大二郎, 丸山 博行, 堀江 久永
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 683-689
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は75歳の男性で,右下腹部痛の精査目的に,大腸内視鏡検査が予定されたが,検査前の腸準備の下剤で腸閉塞となり当科紹介となった.腹部CTで腸回転異常症と下行結腸癌による大腸腸閉塞と診断したが,上行結腸にも腫瘍性病変を認めたため,経肛門イレウスチューブで減圧治療後に大腸ステントを留置し,再度大腸内視鏡検査を行い,上行結腸癌を診断した.3D-CT angiographyで腸回転異常症はreversed typeと診断し,腸管の配置と腫瘍の支配血管の走行を確認した.手術は結腸右半切除術・下行結腸部分切除術を施行した.Reversed typeは全腸回転異常症の約4%と極めてまれである.今回,我々はreversed typeの腸回転異常症を伴ったため,3D-CT angiographyで解剖の把握や,大腸ステント留置し口側の大腸癌の診断を行うなど,診断・治療に工夫を要した症例を経験したので報告する.
  • 酒田 和也, 奥山 正樹, 富永 修盛, 小西 健, 西嶌 準一
    原稿種別: 症例報告
    2016 年49 巻7 号 p. 690-697
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は75歳の女性で,上行結腸癌にて1987年8月右半結腸切除術を施行後,1988年,1989年に左鎖骨上リンパ節転移が出現し,それぞれ郭清術を施行した.以後約14年間再発を認めなかったが,2003年11月左鎖骨上窩および左腋窩のリンパ節再発を認めたため,従来の化学療法を5年以上行った.2009年8月で病勢制御不良となったため,bevacizumab+mFOLFOX6を施行すると転移巣が著明に縮小し,2010年3月左鎖骨上窩~腋窩を郭清した.その後,隣接した少数のリンパ節転移を2回追加郭清したが,3年8か月間再発を認めず,化学療法も5年間施行していない.大腸癌遠隔リンパ節転移について集学的治療の有効性を示す報告は少ないが,自験例のような遠隔リンパ節転移を来し長期担癌状態の後に根治的郭清術を施行した症例はまれであり,同様の報告は他に認めなかった.
臨床経験
  • 入村 雄也, 柏木 秀幸, 坪井 一人, 良元 和久, 梶本 徹也, 矢野 文章, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    原稿種別: 臨床経験
    2016 年49 巻7 号 p. 698-705
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/07/23
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     症例は75歳の男性で,4年前からの嚥下障害と4年間で11 kgの体重減少を主訴に来院した.食道内圧測定検査では食道体部の蠕動運動が消失していたが,上部消化管X線造影検査,上部消化管内視鏡検査,胸部CTにて,下行大動脈の圧迫による食道通過障害(dysphagia aortica)と診断した.食生活指導を行うも症状が改善しないため,外科的治療を予定した.腹腔鏡下にて,食道裂孔を十分に露出し,縦隔内の食道を約8 cm全周性に剥離した後,大動脈右側下方に牽引しながら,噴門形成部の右側および左側を各々食道裂孔部に固定し,Toupet噴門形成術を付加した.手術時間は151分で出血は30 mlであった.術後経過は良好で,術後早期より通過障害は改善し,術後第7病日軽快退院した.術後1年10か月を経過しているが,通過障害に伴う症状の再燃は見られず,術前より5 kgの体重増加が認められた.
編集後記
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