日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
自然破裂を来した虫垂原発平滑筋腫の1例
真船 太一月川 賢土屋 淳一嶋田 仁佐治 攻堀越 邦康牧角 良二花井 彰高木 正之大坪 毅人
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2016 年 49 巻 8 号 p. 788-796

詳細
抄録

 腹腔内原発の平滑筋腫の症例が少なく,特に自然破裂を伴う症例は極めてまれである.症例は34歳の男性で,入院1週間前から持続する腹部膨満感と下腹部痛を主訴に来院した.腹部CTで囊胞成分を有する18 cm大の境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.入院9日目に腹腔内出血を来し緊急手術を行った.腹腔内に血性腹水を1,700 ml程度認め,腫瘍は虫垂原発が疑われたため,腫瘍を含む盲腸切除を行った.病理組織学的検査では紡錘状の核を有する細胞を認め,免疫染色検査ではdesmin,α-SMA陽性,MIB-1 index 3.1%であり平滑筋腫と診断された.平滑筋腫の自然破裂症例は我々が渉猟したかぎりでは本邦でわずか1例の報告のみであった.自然破裂する腫瘍には,囊胞成分を有することや,大きな腫瘍径,増大傾向などの特徴があり,またこれに腹部症状が発現する場合には破裂,または切迫破裂の状態にあると考えられ速やかな対応が必要である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top