日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
術後18年で肝再発を来した小腸gastrointestinal stromal tumorの1例
上坂 貴洋三澤 一仁大島 隆宏大島 由佳齋藤 健太郎沢田 堯史寺崎 康展皆川 のぞみ奥田 耕司大川 由美石井 保志
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2017 年 50 巻 10 号 p. 830-837

詳細
抄録

 症例は84歳の女性で,1998年2月,12 cm大の小腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)に対して小腸部分切除を施行した.補助化学療法は行わず,2014年1月まで経過観察を行っていた.2016年6月,高血圧のスクリーニング目的に他院で実施された腹部USで肝右葉に腫瘤を指摘され,精査目的に同月当院紹介受診となった.腹部造影CTで肝S8に98 mm大の腫瘍を認め,腫瘍生検を行ったが診断は確定できなかった.腹部USやCTの結果はGISTの肝転移として矛盾しないものであり,肝右葉切除術を施行した.摘出標本の病理組織検査では紡錘形細胞の束状増生像を認め,c-kit陽性であることから小腸GISTの肝転移と診断した.GISTは切除後10年以上経過してからの再発例が散見され,10年を越える長期的なフォローアップが必要と考えられる.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top