2017 年 50 巻 3 号 p. 247-253
症例は54歳の女性で,黄疸を主訴に当科を紹介受診した.腹部造影CTでは下部胆管に25 mm大の壁肥厚・濃染部位のほか,膵体尾部に不均一な造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.下部胆管病変と膵体尾部病変は画像上明らかな連続性は認められず,下部胆管癌および膵体尾部浸潤性膵管癌と診断し,膵全摘術を施行した.切除標本の肉眼的所見では主膵管と下部胆管は十二指腸壁外での交通を認め膵・胆管合流異常の所見であった.病理組織学的検査所見では異型の強い腫瘍性上皮が複雑な乳頭状増殖を呈しており,膵胆管合流部を通じて下部胆管病変と膵管内病変の連続性を認めた.腫瘍の形態および分布,免疫染色検査の結果より膵胆道型の膵管内乳頭粘液性腺癌と診断し,下部胆管病変は腫瘍の胆管進展と判断した.経過良好で術後9日目に軽快退院された後,術後6か月無再発生存中である.