2017 年 50 巻 5 号 p. 364-371
症例は61歳の男性で,胃癌に対し幽門側胃切除D2郭清術を施行した.術後化学療法としてS-1の内服を開始した.術後12か月で傍大動脈リンパ節再発を認めた.S-1+paclitaxel(PAC)療法,S-1+docetaxel(DOC)療法を施行したが,CEA値は上昇したため,irinotecan(以下,CPT-11と略記)+cisplatin(以下,CDDPと略記)療法に変更した.変更後CEA値は低下し,傍大動脈リンパ節は縮小した.他に再発を認めなかったため,初回手術から2年後に傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.術後CPT-11+CDDP療法を3サイクル施行し,リンパ節郭清術後5年経過した現在無再発生存中である.胃癌術後の傍大動脈リンパ節再発は,化学療法と切除を組み合わせることにより予後の延長や根治できる症例が存在するため,その適応や治療方針に関し今後さらなる症例の集積と検討が必要である.