日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
盲腸腺癌を合併した虫垂mucosa-associated lymphoid tissueリンパ腫の1例
住山 房央稲田 涼繁光 薫小林 壽範大石 賢玄道浦 拓井上 健太郎權 雅憲植村 芳子濱田 円
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2017 年 50 巻 7 号 p. 579-586

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抄録

 虫垂mucosa-associated lymphoid tissue(以下,MALTと略記)リンパ腫は極めてまれな疾患であるが,今回,我々はHelicobacter pylori(以下,H. pyloriと略記)除菌後に切除した盲腸腺癌を伴う虫垂MALTリンパ腫を経験したので報告する.症例は82歳の男性で,検診で便潜血陽性を指摘され近医を受診した.注腸検査で回盲部に隆起性病変を認めたため,精査加療目的で当院紹介受診となった.下部消化管内視鏡検査を施行し,虫垂開口部の隆起性病変からの生検でMALTリンパ腫の診断を得た.また,回盲弁に腺腫を認めた.PET-CTで,腫瘍部位および近傍の腫大リンパ節に異常集積を認め,またH. pylori陽性のため,除菌療法を施行した.除菌後,虫垂開口部のMALTリンパ腫は縮小していたが,回盲弁の病変は再生検にて,高分化腺癌と診断されたため,回盲部切除術を施行した.病理診断の結果,虫垂開口部のMALTリンパ腫は部分寛解しており,腫瘍近傍の腫大リンパ節はMALTリンパ腫の転移であった.また,盲腸腺癌はpT1a,pN0,pM0,pStage Iと診断された.現在術後9か月経過するも無再発生存中である.

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