日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
2次性大動脈十二指腸瘻の3症例
松浦 記大藤谷 和正中塚 梨絵宮崎 進團野 克樹小森 孝通本告 正明柏崎 正樹岩瀬 和裕
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2018 年 51 巻 6 号 p. 406-414

詳細
抄録

2次性大動脈十二指腸瘻(secondary aortoduodenal fistula;以下,sADFと略記)はまれな疾患ではあるが,診断に難渋し致死的な転機をたどることも多い.今回,我々はsADFの3症例を経験し,診断・治療・術後成績の三つの観点から検討を行った.2症例は吐・下血の原因としてのsADFの診断に難渋し,全症例でsADFに対する治療介入を行い一旦は救命できたもののうち2症例は術後感染症により致死的な転帰をたどった.人工血管置換術後の消化管出血を見た場合,sADFを鑑別疾患として挙げ,感度・特異度とも高いとされているCTを早期に行うことが重要である.また,sADFが疑われた場合,感染のコントロール,すなわち人工血管除去を念頭に遅滞のない手術を考慮することが重要である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top