日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
HNF1α不活化型肝細胞腺腫の1例
山下 信吾有泉 俊一小寺 由人高橋 豊大森 亜紀子片桐 聡江川 裕人山本 雅一中野 雅行
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2018 年 51 巻 6 号 p. 415-422

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抄録

症例は33歳の男性で,既往歴はなく,肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.人間ドックのPETにて肝S4に高度集積(SUV max of 10.4)を認めた.血液生化学検査では,異常値は認めなかった.USでは,肝S4に径4 cm,境界が明瞭な淡いhyperechoic lesionを認めた.単純CTでは低吸収であり,動脈相で等吸収,門脈相で低吸収,遅延相で低吸収であった.EOB-MRIでは,肝細胞造影相で境界明瞭な低信号,T1脂肪抑制で低信号であり脂肪成分を含む腫瘍が考えられた.初回診断時より5か月後,悪性腫瘍が否定できないため,肝部分切除を施行した.肉眼所見では,割面は弾性軟で,黄色を呈した充実性の境界明瞭な腫瘍であった.病理診断は肝細胞腺腫(hepatocellular adenoma;以下,HCAと略記)で,免疫組織学的にHNF1α不活化型と診断した.PETで高集積となるHCAは,極めてまれであるので報告する.

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