日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前診断に造影MRIが有用であった胆囊粘液癌の1例
増尾 仁志小林 聡横山 隆秀清水 明本山 博章野竹 剛北川 敬之上原 剛山田 哲宮川 眞一
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2018 年 51 巻 6 号 p. 423-430

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抄録

症例は70歳の女性で,検診で胆囊腫瘍を指摘され当科に紹介となった.腹部USで胆囊体部肝側に粘膜下腫瘍様の形態を示すechogenicな隆起性病変を認めた.腹部MRIでは同部に15 mm大,T2強調像で腫瘍内部が腎臓よりも強い高信号を呈する腫瘤を認めた.ダイナミックMRIでは辺縁および内部がmesh likeに漸増性濃染を示した.MRI所見から粘液基質を豊富に含む充実性腫瘍が示唆され,胆囊粘液癌と診断した.胆囊床切除を伴う胆囊摘出術,肝外胆管切除と領域リンパ節郭清を行った.病理組織学所見上,癌細胞は間質に粘液を伴って浸潤増殖しており,胆囊粘液癌と診断した.胆囊粘液癌の診断には,充実性腫瘍であることに加え,腫瘍内に粘液基質の存在を示すことが重要である.造影MRIは腫瘍の形態や造影効果のみならず,腫瘍内部に存在する間質の質的評価も同時に行えるため,胆囊粘液癌の診断に有用であると思われた.

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