日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
ソマトスタチン受容体シンチグラフィで集積を示した腎癌膵転移の1例
岸田 貴喜杉本 博行大津 智尚田中 健士郎小林 大悟山中 雅也横山 裕之望月 能成谷口 健次
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2020 年 53 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

ソマトスタチン受容体シンチグラフィ(somatostatin receptor scintigraphy;以下,SRSと略記)は神経内分泌腫瘍の診断に用いられるが,本邦での臨床経験はまだ少ない.今回,SRSで集積を示した腎癌膵転移の1例を経験した.症例は79歳の女性で,左腎癌に対して左腎摘出術を施行している.術後19年目の単純CTで膵体部に腫瘤性病変を認め,過去のCTを再検討したところ術後12年目のダイナミックCTで膵体部に動脈相で濃染する腫瘤性病変を認め,徐々に増大傾向を認めた.精査目的に施行したSRSで腫瘤全体に集積亢進を認めたため,膵神経内分泌腫瘍を第一に疑い膵体尾部切除術を施行した.組織学的には淡明な胞体を含む腫瘤で,腎癌(淡明細胞癌)の膵転移と診断した.SRSは,神経内分泌腫瘍以外の腫瘍にも集積を示すことがあり,腫瘍の鑑別診断に用いる際には注意する必要がある.

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