日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
内視鏡的胆囊ステント留置術後に仮性動脈瘤による胆囊管穿通を来した1例
羽部 匠酒向 晃弘西田 耕太郎小松 更一荒川 敬一丸山 岳人青木 茂雄三島 英行松井 郁一
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2021 年 54 巻 12 号 p. 869-875

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抄録

症例は82歳の男性で,総胆管結石併存急性胆囊炎に対して内視鏡的総胆管結石採石術と内視鏡的胆囊ステント留置術(endoscopic gallbladder stenting;以下,EGBSと略記)を施行した.胆囊炎は改善して退院となったが,ステント留置後30日目に生じた吐血に対して撮像したCTで肝動脈後区域枝に仮性瘤を認め,胆囊管に穿通が疑われた.仮性動脈瘤穿通による胆道出血の診断で同日,開腹止血術と胆囊摘出術を施行した.その後,腹腔内の特段の合併症を認めず,退院となった.本症例はステントに接して仮性動脈瘤が位置し,穿通しており,これにより吐下血を来したものである.機械的刺激が指摘され,EGBSによる医原性と考えられた.EGBSによる医原性で仮性動脈瘤を形成し,穿通したと推測されるまれな症例を経験したため報告する.

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