日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
十二指腸副乳頭原発神経内分泌腫瘍の1例
石坂 直毅黒岩 雄大野竹 剛清水 明窪田 晃治池原 智彦林 輝安川 紘矢小林 聡松本 有機小林 実喜子副島 雄二
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2021 年 54 巻 12 号 p. 861-868

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抄録

症例は56歳の女性で,健康診断で施行した上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行部副乳頭領域に2 cm大の腫瘍を指摘された.腹部CTでは造影早期に濃染する2 cm大の境界明瞭な結節として認められ,膵頭部周囲にリンパ節転移を疑う腫大したリンパ節を認めた.Endoscopic ultrasonography(以下,EUSと略記)では第3層に2 cm弱の辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた.EUSガイド下生検で十二指腸原発の神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm;以下,NENと略記)と診断され,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査で腫瘍は十二指腸副乳頭粘膜直下および副膵管を囲むように発育しており十二指腸副乳頭原発NENと診断した.膵頭部周囲のリンパ節には転移を認めた.術後経過は良好で,術後22日目に退院となった.十二指腸NENの発生部位は球部や下行部が大半を占め,副乳頭部は2.2%とまれである.また,十二指腸副乳頭NENは腫瘍径が小さくてもリンパ節転移を高率に伴うことが報告されている.今回,副乳頭原発NENの切除例を経験したため報告する.

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