日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
十二指腸内憩室に対して外科的切除を行った1例
小山 虹輝森 泰寿大塚 隆生渡邉 雄介池永 直樹仲田 興平荻野 治栄小田 義直中村 雅史
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2021 年 54 巻 3 号 p. 184-192

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抄録

症例は24歳の男性で,急性膵炎に対して保存的加療を行われ改善したが,3か月後に急性膵炎が再燃し,当院に紹介となった.CTでは十二指腸下行脚から水平脚内にかけて内腔から連続する囊状病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸乳頭部近傍の肛門側に盲端を持つ管腔を認め,上部消化管造影検査では管腔内に約30 mmの囊状構造が描出された.十二指腸内憩室(intraluminal duodenal diverticulum;以下,IDDと略記)に,食事内容物が流入することで膵液うっ滞を生じ,膵炎を繰り返していると判断し,開腹下に十二指腸切開・憩室切除術,胆囊摘出術,C-チューブドレナージを施行した.術後17日目に退院し,術後10か月まで膵炎の再燃を認めていない.IDDに対しては内視鏡的切除術が有用との報告もあるが,本症例は憩室のサイズ,十二指腸乳頭部との位置関係から開腹手術を選択した.IDDに対して外科的切除術を行った1例を報告し,その治療法について報告する.

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