日本消化器外科学会雑誌
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54 巻, 3 号
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原著
  • 本藤 奈緒, 宮川 雄輔, 北沢 将人, 片岡 将宏, 得丸 重夫, 村中 太, 増田 雄一, 小林 聡, 副島 雄二
    原稿種別: 原著
    2021 年54 巻3 号 p. 157-165
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    目的:外科を目指す女性は比較的少なく,外科医の数は減少傾向である.学生および研修医の意識調査を通じて,女性外科医を取り巻く問題点について検討した.方法:医学科3~5年生および初期研修医418名(女性136名)にアンケート調査を行った.結果:将来の志望科として外科は2番目に多かった.外科はやりがいがあるものの,長時間労働や休日勤務が多い印象があり,プライベートの時間が少ないことが懸念されていた.女性の56%が,産休や育休の取得について不安に感じていた.家事や育児について,男性の50%が家事や育児に積極的に参加したいと回答した.女性医師に必要な支援について,勤務形態や業務負担の軽減,保育所の充実などが挙げられ,女性でより周囲の理解や協力の必要性を感じていた.結語:医師の働き方に対する意識は変化しており,家庭と仕事の両立が求められている.男性医師も含めた勤務環境の整備や多様な働き方の受容が求められる.

症例報告
  • 東松 由羽子, 奥村 知之, 馬場 逸人, 渡辺 徹, 平野 勝久, 渋谷 和人, 北條 荘三, 松井 恒志, 吉岡 伊作, 藤井 努
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 166-172
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は74歳の女性で,食道癌(SCC,LtMt,cT1bN0M0,cStage I:UICC TNM分類 第7版)に対して胸腔鏡下食道亜全摘胸骨後経路胃管再建術を施行した.術後3か月半から嘔吐を認め,精査にて胃管の右側胸腔内脱出による通過障害と診断した.経鼻胃管挿入による2週間の保存的加療にて改善せず手術の方針となった.開腹所見にて胃管前庭部が胸骨剣状突起背面に強固に癒着していたため,肋軟骨を第6肋骨付着部で切離し約8 cmの開胸とした.右横隔膜上へ脱出した胃管の屈曲に加えて肝左葉と剣状突起によって胃管流出路が閉塞しており,横隔膜肋骨付着部を右側へ切開し胃管流出路を開放し弛んだ胃管を腹腔側に牽引して横隔膜に固定した.術後1年が経過し全身状態良好で通過障害を認めていない.

  • 下松谷 匠, 橋本 恭一, 竹内 豪, 松木 豪志, 青山 諒平, 松山 剛久, 日並 淳介, 久保田 良浩, 仲井 理
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 173-183
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は72歳の女性で,白血球増多,胸部異常陰影にて紹介となった.諸検査で肺癌合併の進行胃癌と診断した.審査腹腔鏡にて肝表面に結節を認め,針生検で胃癌の肝転移と診断し化学療法を開始した.一時腫瘍は縮小するも,経過中白血球は46,500/μl,血清カルシウム値は15.7 mg/dlと高値を示し,胃原発巣,リンパ節転移とも著明に増大していた.血清granulocyte colony-stimulating factor(以下,G-CSFと略記),血清parathyroid hormone related protein(以下,PTHrPと略記)は上昇していた.噴門側切除,肝部分切除,膵尾部・脾臓切除術を行った.免疫組織学染色で腫瘍細胞にG-CSF,PTHrPが陽性で,術後血清G-CSF,PTHrPは低下した.胃癌において両因子の産生腫瘍であることを証明した報告はなく,本症例が最初であると考えられる.

  • 小山 虹輝, 森 泰寿, 大塚 隆生, 渡邉 雄介, 池永 直樹, 仲田 興平, 荻野 治栄, 小田 義直, 中村 雅史
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 184-192
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は24歳の男性で,急性膵炎に対して保存的加療を行われ改善したが,3か月後に急性膵炎が再燃し,当院に紹介となった.CTでは十二指腸下行脚から水平脚内にかけて内腔から連続する囊状病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸乳頭部近傍の肛門側に盲端を持つ管腔を認め,上部消化管造影検査では管腔内に約30 mmの囊状構造が描出された.十二指腸内憩室(intraluminal duodenal diverticulum;以下,IDDと略記)に,食事内容物が流入することで膵液うっ滞を生じ,膵炎を繰り返していると判断し,開腹下に十二指腸切開・憩室切除術,胆囊摘出術,C-チューブドレナージを施行した.術後17日目に退院し,術後10か月まで膵炎の再燃を認めていない.IDDに対しては内視鏡的切除術が有用との報告もあるが,本症例は憩室のサイズ,十二指腸乳頭部との位置関係から開腹手術を選択した.IDDに対して外科的切除術を行った1例を報告し,その治療法について報告する.

  • 中本 蓮之助, 酒井 健司, 原 修一郎, 大橋 朋史, 大澤 日出樹, 井出 義人, 野呂 浩史, 平尾 隆文, 畑中 信良, 山崎 芳郎 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 193-199
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は77歳の男性で,健診にて肝機能障害を指摘された.近医で施行した腹部USで胆石を認め,当院消化器内科を紹介となった.精査の結果,胆石症の手術目的に当科入院となった.術前の腹部USでは胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞を認めた.造影CT,MRIでは胆囊内に結石多数と,胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞性病変を認めた.胆石症,胆囊腺筋腫症と診断し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.胆囊頸部に4.0 cm大の囊胞を認め,内容は透明粘液であった.切除標本では肉眼的に胆囊内腔と交通を確認でき,病理組織学的検査所見では囊胞全体が拡張したRokitansky-Aschoff sinus(以下,RASと略記)であり,最終診断は胆囊壁内囊胞とした.胆囊壁内囊胞は報告例が非常に少なくまれな疾患であり,臨床的・組織学的定義は確立されていない.今回,我々は胆囊内腔との交通を有した胆囊壁内囊胞の1例を経験したため報告する.

  • 荒川 宏, 野口 明則, 石井 博道, 多田 浩之, 竹下 宏樹, 伊藤 忠雄, 谷 直樹, 中西 正芳, 山口 正秀, 山根 哲郎
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 200-207
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は88歳の女性で,発熱を認め来院しCTで急性胆囊炎と総胆管結石と診断した.この時点では胆囊が緊満し右側肝円索と診断されていなかった.胆囊摘出術前に総胆管結石採石を予定し経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;以下,PTGBDと略記)を施行した.PTGBD翌日に炎症反応と腹痛の増悪を認め造影CTで胆汁漏による腹膜炎の所見を認め緊急手術の方針とした.造影CTで門脈左枝から外側区域枝と前区域枝と内側区域枝の共通管が分岐する門脈走行異常を認め肝円索が門脈前区域枝に合流しており右側肝円索と判断した.開腹所見で胆囊は肝円索左側に位置し右側肝円索と診断した.PTGBDチューブは皮膚-肝臓-腹腔内-胆囊の順で穿刺され胆汁漏の原因であった.右側肝円索症例ではPTGBDによる胆汁漏を起こす可能性があり解剖を十分把握する必要がある.

  • 土井 寛文, 豊田 和宏, 平原 慧, 久原 佑太, 白川 賢司, 原 鐵洋, 小林 弘典, 坂下 吉弘, 二宮 基樹, 嶋本 文雄, 宮本 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 208-216
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は56歳の男性で,右下腹部痛を主訴に当院紹介となった.血液検査所見では炎症反応の上昇を認め,CTでは周囲脂肪織濃度上昇を伴う虫垂腫大に加え,虫垂根部の造影効果と周囲の囊胞状低吸収域を認めることから虫垂粘液産生腫瘍を否定できず,まずは抗菌薬にて保存的加療を行った.1か月後,炎症反応は改善したもののCTでも虫垂根部の造影効果と周囲の囊胞状低吸収域は変わらず,虫垂腫瘍の可能性を考えて待機的に腹腔鏡下回盲部切除術,D3郭清を行った.術中所見で虫垂の硬結,後腹膜への硬い癒着を認め,後腹膜下筋膜および右精巣動静脈の合併切除を行った.病理組織学的検査では黄色肉芽腫と診断され,悪性所見は認めなかった.以後,無症状,無再発で経過している.黄色肉芽腫性炎症は比較的まれな慢性炎症の1特殊型であり,臓器では胆囊や腎臓に好発とされる.虫垂に発生した例はまれであり,文献的考察を加えて報告する.

  • 大菊 正人, 西脇 由朗, 高木 徹, 宮崎 真一郎, 原田 岳, 北里 周, 林 忠毅, 田村 浩章, 金井 俊和, 大塚 駿介, 森 弘 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年54 巻3 号 p. 217-227
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    症例は28歳の男性で,運動後に腹痛と意識障害が生じたため救急搬送された.血圧は77/49 mmHgに低下しており右上腹部は著明に膨隆し圧痛を伴っていた.CT所見ではモリソン窩の位置に直径18 cmに及ぶ巨大な血腫を認め内部には最大径10 cmの腫瘍の増生を認めた.副腎ホルモン検索では有意な上昇はなく画像検査では腫瘍の肝浸潤,下大静脈浸潤を認め術前診断は非機能性副腎癌と診断した.肝右葉,下大静脈,右腎を合併切除する腫瘍摘出術を施行し,腫瘍は完全切除しえた.摘出標本の免疫染色検査においてcytokeratin,desmin,S100が陰性でCD99が陽性であることから骨外性Ewing肉腫/primitive neuroectodermal tumorの疑いとなり,fluorescene in situ hybridization(FISH)検査でEWSR1とFLI-1のキメラ遺伝子を認め診断が確定した.術後は高次機能施設に紹介し補助化学療法を施行したが術後4年1か月後に局所再発を来した.放射線療法,化学療法を施行したが術後5年6か月目に永眠された.集学的治療により長期予後が得られた本症例について報告する.

臨床経験
  • 三品 拓也, 金岡 祐次, 前田 敦行, 高山 祐一, 高橋 崇真, 桐山 宗泰, 清板 和昭
    原稿種別: 臨床経験
    2021 年54 巻3 号 p. 228-235
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/31
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    はじめに:Bevacizumab(以下,BVと略記)は大腸癌を始め悪性腫瘍に対し有効性が報告されている分子標的薬であるが,特異的な副作用も知られている.今回,我々はBV投与中に急性腹症を来した13例を経験したので報告する.対象と方法:2009年4月から2019年3月までにBV投与中に急性腹症を来した13例を対象に,患者背景,治療成績を検討した.結果:年齢中央値は63歳(50~75歳),男性6例,女性7例だった.原因は消化管穿孔10例(結腸5例,十二指腸3例,小腸2例),膀胱穿孔1例,虚血性腸炎1例,胆石発作1例だった.十二指腸穿孔の1例は保存治療を行ったが,他の12例は手術を施行した.術後合併症はsurgical site infection(SSI)を8例(67%),創離開を3例(25%)に認め,Clavien-Dindo分類Grade IIIa以上は6例(50%)に認めた.在院死は2例(保存治療の1例と虚血性腸炎の1例)で,在院日数中央値は43日(4~128日)だった.結語:BV投与中の急性腹症は消化管穿孔が多く,外科的治療後は合併症発生率も高い.

編集後記
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