日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下S状結腸切除術半年後に発症し緊急手術を要した静脈うっ滞による虚血性腸炎の1例
土屋 康紀大村 哲也太田 長義北條 荘三松井 恒志吉岡 伊作奧村 知之長田 拓哉島多 勝夫岡田 英吉藤井 努
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2021 年 54 巻 8 号 p. 548-555

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抄録

症例は75歳の女性で,子宮筋腫手術の既往がある.S状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後5か月目より便秘,肛門部違和感,肛門からの透明な排液を自覚した.CTや下部消化管内視鏡検査で前回手術の吻合部より肛門側直腸の虚血性腸炎が疑われた.入院加療として絶食管理などの保存的加療を行うも,症状や腹部CT所見に改善傾向を認めなかった.発症から1か月後に大量下血・ショックとなり緊急手術となった.腸管,腸間膜,周囲組織の高度な腫脹・線維化を認め腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査にて静脈うっ滞による虚血性腸炎と診断された.2回にわたる骨盤内手術が誘因であったと推測された.

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