2022 年 55 巻 8 号 p. 483-490
免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor;以下,ICIと略記)は免疫機序を介すると考えられている免疫関連有害事象(immune-related adverse events;以下,irAEと略記)の発生が問題となっている.今回,切除不能進行食道癌に対して3rd lineでニボルマブを使用したところ,4コース施行後にICI関連結核を発症した.6か月の休薬期間を経て結核治療と並行しニボルマブを再開すると,再投与3週間後にirAEである肝障害・腎障害に加えて,免疫性血小板減少性紫斑病を発症した.入院でのステロイド治療が開始となり,治療開始から2週間で血小板は正常まで回復し,肝障害や腎障害も改善した.治療開始後1か月で軽快退院となった.現在,ニボルマブの最終投与から約3か月経過しているが,腫瘍の進行を認めていない.