抄録
消化管吻合法は, 従来Albert-Lembertの二層縫合法が一般的であったが, Haisted以来, 一層縫合法の優秀性が注目されGambee法など種々の一層縫合法に関する報告がなされている.一層縫合法ではとくに縫合材料の検討が重大と考えるが, この点に関する研究は少なく, 明確な結論が得られていないのが現状である.
著者は, 雑種成犬の結腸において, silk, cat gut, polyglycolic acidの三種の縫合糸を用い, Gambee一層縫合を行い, その部の肉眼的所見, 耐圧試験, 浮腫, microangiography, hydroxyproiine量, 組織学的所見で比較検討したところ, そのいずれの検査項目においても, poiyglycolic acidの優位性が認められた.
これらの成績は充分臨床に応用できるものであり, 教室の結腸吻合に活用している.