日本消化器外科学会雑誌
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幽門括約筋保存胃切除術後の残胃内容排出に関する研究
前田 和良
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1977 年 10 巻 5 号 p. 459-469

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抄録
胃遠位側切除後残胃の大きさおよび幽門括約筋の温存程度が, 胃内容の排出にいかにに影響するかを, 胃・十二指腸内圧の変化の面より, 実験的・臨床的に検討した.
その結果, 残胃が小さくなるほど内容排出は急速となり, 幽門括約筋の温存量を多くすれば内容排出は緩徐となった.一方, 胃内圧は残胃が小さくなるほど上昇し, しかも内容負荷により著しく上昇するが, 幽門括約筋の温存によってむしろ幾分緩和された.しかし, 幽門括約筋を温存しても広範囲胃切除を行えば, 胃内圧が著しく高くなり急速な排出を示した.そこで, 幽門括約筋を温存したうえに階段状胃切除を併用して, 残胃の拡大を計ったところ, 胃内圧の上昇は軽度となり, 胃内容の急速排出が防止されたため, 臨床的に高位胃潰瘍症例に応用し満足すべき結果を得た.
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