日本消化器外科学会雑誌
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教室における特発性炎症性腸疾患の手術適応と治療成績について
武藤 徹一郎上谷 潤二郎草間 悟
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1979 年 12 巻 1 号 p. 41-47

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抄録
教室における潰瘍性大腸炎およびCrohn病の手術適応ならびに術後成績について述べた. 潰瘍性大腸炎は基本的には内科的には治療すべき疾患であるが, 手術が必要な場合にもできる限り直腸を温存する手術を選択すべきであり, それが可能であると考えられた. 残存直腸の炎症再燃の治療にはステロイド坐薬が有効であった. 教室における直腸温存術8例の成績は良好で再手術を行った例はなかった.
Crohn病に対する手術は狭窄, 瘻孔などの合併症に対して行われることが多かった.教室における手術成績は11例中再発率36%, 死亡率18%で, 死亡が再発に関係していたと仮定すれば再発率は54%になる. Crohn病の手術適応, 術式選択にはいまだ問題点が多く, 今後症例を集積して再検討する必要があると考えられた.
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