抄録
昭和52年3月以後2年間に本邦製の弯曲軸消化管吻合器 (仮称) を上部消化管手術26例 (食道離断吻合9例, 胃全摘後の食道空腸吻合15例, 噴門側胃切除後の食道胃吻合2例) に使用し, その結果について報告した.
食道離断術では食道出血の停止, 食道静脈瘤の消退がみられ, 全例, 満足すべき結果をえた. 食道空腸吻合では最大の難点として一部症例に吻合操作終了後, 吻合器の抜去困難と, 強引な抜去に伴う吻合部の断裂がみられた. 使用経験に基づき, 吻合器は特有の難点とその対策 (応急処置, 吻合型式の変更等) に精通すれば, 手術の簡素化, 所要時間の短縮, 安全かつ確実な施行を約束する画期的な手術器械であるとの結論に達した.