日本消化器外科学会雑誌
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早期胃癌症例の臨床病理学的検討
中谷 勝紀宮城 信行高橋 精一白鳥 常男小西 陽一
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キーワード: 早期胃癌
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1979 年 12 巻 9 号 p. 597-603

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抄録
教室で経験した早期胃癌140例について臨床病理学的検討を加えた. 140例中, m癌64例, sm癌76例であった. リンパ節転移度はm癌では, n0 93.7% n1 4.7%, n2 1.6%, sm癌ではn0 81.6%, n1 13.2%, n2 3.9%, n3 1.3%であった. 早期胃癌全体の5年生存率は89.5%, 10年生存率は68.0%であった.深達度別にみるとm癌では5年生存率92.5%, 10年生存率は81.8%であり, sm癌ではそれぞれ87.0%, 57.1%であった. 次にリンパ節郭清度別生存率をみるとR1では5年生存率82.8%, 10年生存率65.0%であり, R2ではそれぞれ88.0%, 75.0%であり, R3ではともに100%であった.早期胃癌再発死亡例は6例でsm癌が5例を占め, 組織型では分化型が多く, リンパ節郭清度からみるとR1が5例を占め, 再発形式としては肝再発が4例と最も多かった. 以上より早期胃癌に対してはリンパ節転移度等からみてR2の手術が必要であり, 肝再発を予防するため, 術中, 術後何らかの処置が必要であろう.
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