抄録
膵癌の治療成績向上のためには, 早期発見の重要性はいうまでもないが, 治療の主幹となる外科的な面でも, より安全で, より根治性を高めるたあの術式の開発や術前, 術後のより慎重な管理が必要である. 私どもの教室では, 色素注入による膵リンパ路の検索, 膵切除例や剖検例の検討, および術後消化吸収試験を行いつつ, より根治性を高める術式の手技確立に努めており, 本稿では, 過去19年間に教室において経験した膵癌手術成績を呈示しながら, 膵癌手術の根治性についての私どもの考え方を若干の文献的考察を加え論じる.