抄録
有石胆嚢炎103例, 無石正常胆嚢10例, 胆嚢癌20例についての化生とその癌化について臨床病理学的検索を行った.その結果有石例はテープ緑変例 (蔗糖分解酵素の発見) 13例 (12.6%), 偽幽門腺55例 (53.4%), 杯細胞33例 (32.0%), EC細胞12例 (11.7%), Paneth細胞3例 (2.9%) の出現を見, 無石例は偽幽門腺, 杯細胞が各1例 (10.0%) であった.分化型胆嚢癌16例中腫瘍内に12例 (75.0%) の杯細胞がみられ, さらに腸型吸収上皮の存在するものがあった.化生と分化型癌は諸検査に共通性があり, 正常胆嚢粘膜→ 慢性胆嚢炎 (含結石) →腸上皮化生→分化型胆嚢癌 (腸型癌) を生じうる可能性が考察できた.