1980 年 13 巻 9 号 p. 1101-1105
特発性S状結腸穿孔は比較的稀であり, 本邦ではわれわれの2例を含めて50例を数えるのみであった.これらの多くは糞便性腹膜炎なるが故に, より重篤な臨床経過を示し, 予後不良なエンドトキシンショックへと移行する危険性が高いと思われる.われわれはこれら症例について, 穿孔の誘因, 入院時臨床所見, 手術々式とその予後等, 統計的に考察を加えたところ, 36%に白血球数の減少が認められ, しかもこれらの症例の場合には死亡率が50%にも達していた.このような臨床検査所見上の本症の特異性を把握しておくことが早期診に, ひいては治療成績の向上にもつながると思われる.