日本消化器外科学会雑誌
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細胞核内DNA分析による癌の悪性度分類に関する研究
胃および食道癌を対象として
三戸 康郎平塚 隆三土器 辰雄
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1982 年 15 巻 3 号 p. 531-543

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抄録
胃癌113症例および食道癌40例について, 顕微分光側光法 (落射蛍光法) により, それぞれの癌細胞核DNA量を測定し, そのhistogramの分析から4型のDNA Histogram Patternを分類し, DNA量からみた癌の悪性度分類につき検討した.胃癌はDNA Histogram Pattern II型を示すものが多く (46%), なかでも表層拡大発育型 (Super) 型胃癌25例は84%がI型を示し, 深部浸潤発育型 (Pen) 胃癌14例ではIII, IV型を示すものが57.2%と多かった.胃切除術後の累積生存曲線でもI型の5生率が70.7%, II型が46.5%, III型が35.8%, IV型が30.9%とDNA量が増すにつれて胃癌の悪性度もまし予後不良であった, 食道癌でも同様の傾向がみられたが, ことにIII, IV型が全体の55%を占め, 胃癌より悪性度が強い印象を与えた.胃癌, 食道癌ともにDNA Histogram Patternはリンパ管侵襲所見の程度と強い相関を示した.
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