抄録
切除不能大腸癌41例の手術所見, 制癌治療と予後について検討した.41例の50%生存期間は9.3ヵ月であり, 41例中制癌治療非施行20例の生存期間は8.1±5.4月である.また, 制癌剤投与14例のそれは16.5±15.5月, 術後照射の7例は11.3±8.2月の生存期間である.手術所見中生存期間との相関はH因子のみに認められ, それ以外のP, S, N因子には相関を認めなかった.長期生存症例の多くはH0, P0~1, S3であり, 術後の生存期間の長短による分類では, 15月以上生存の場合に制癌治療を受けた症例が有意に長期生存した.術前・術後の検査成績中AIPが生存期間と相関を有した.