抄録
大腸癌手術の術前処置としてPolymyxin B (PLB) およびTinidazole (TDZ) を投与し, 腸内細菌叢について, 投与前後の菌数変動, 術後の創感染率について検討した.大腸癌71例を対象とし, 31例は機械的処置およびPLBを1回量100万単位, 1日3回, 3日間投与, 40例は同様の処置に加え, TDZを1回1,000mg, 1日1回, 3日間併用投与を行った.糞便内菌数算定よりPLB群では好気性菌が109から106個に減少し, TDZ併用群は, 好気性菌に加え, 嫌気性菌も1010から107個に減少した.術後創感染予防に対してはPLB群は19%であったが, TDZ併用群は5%の創感染率で, PLB, TDZ併用投与は有効であるという結論を得た.