抄録
35施設において行われた過去平均8.5年間の4,184例の十二指腸潰瘍手術症例の再発は118例.再発率は2.8%であった.術式別では広範囲胃切除,迷切兼前庭部切除など胃切除を伴なう群では1%以下の再発率であったが,迷切兼ドレナージ術,選近迷切兼ドレナージ術,選近迷切などの迷切を主体とする術式では5.2~6.9%の再発率を示した.術後最大胃酸分泌量MAOの判明している1,873例の検討では4.0~5.9mEq/hを境にして,MAO<3.9mEq/hの再発率1%以下,>6.0mEq/hでは12.2%と明らかな差を認めた.術式別でも同様の所見であり,4.0~5.9mEq/h以下のMAOならば再発に対して安全領域にあると考えられたが,同じ安全領域の症例でも胃切を伴なう術式では再発率1%以下であるのに迷切主体群では2.8%と高い再発率であった.