日本消化器外科学会雑誌
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胆嚢癌に対する診断率の検討
とくに上部胆管狭窄を伴う胆嚢癌症例について
川浦 幸光平野 誠中島 久幸村上 和伸羽柴 厚岩 喬
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1983 年 16 巻 9 号 p. 1694-1698

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抄録
上部胆管狭窄を伴う胆嚢癌32例を中心に, 各種検査法における診断能について検討し, 次の結論を得た.(1) 質的診断にはPTC, ERCP, または血管造影が有効で, 診断率は81%であった.(2) 結石保有例は胆嚢炎, 胆石症と診断された.(3) 肝内直接浸潤の診断率はUSで34%, CTで75%であった.(4) US, CTによる腫瘍エコーの描出率は低く, それぞれ12.5%, 37.5%であった.(5) 胆管浸潤の診断率は87.5%であった.(6) 門脈浸潤は血管造影にて81%の診断率であった.(7) リンパ節腫脹の描出は困難であった.(8) 胆汁細胞診陽性率は18%と低かった.
各種検査法を駆使し, 慢性胆嚢炎との鑑別, 結石保有の胆嚢癌の診断, 早期胆嚢癌の発見に努めるべきである.
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