日本消化器外科学会雑誌
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セクレチン, コレシストキニン分泌からみた空腸上部の膵外分泌機能に果たす役割
山下 裕一
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1983 年 16 巻 9 号 p. 1709-1716

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抄録

空腸上部の膵外分泌機能に果たす役割について, イヌを用いて基礎的検討を行った.
Radioimmunoassayによりイヌ消化管組織中のsecretinおよびcholecystokinin (CCK) 濃度を測定した結果, secretinは十二指腸および空腸上部の粘膜層に高濃度に存在し, 空腸中部以下では著明に低下した. CCKは十二指腸および空腸上部の粘膜層ならびに筋層に高濃度に存在し, 下部小腸に行くに従い徐々に減少した.
各種再建を行った胃切除犬にPFD試験を施行し次の結果を得た. secretin, CCKが豊富に存在する十二指腸と空腸上部を食物が通過するBillroth I法犬 (n=5) の6時間尿中PABA排泄値は76.0±10.2% (Mean±SD), 空腸上部を通過するmodified Roux-Y犬 (n=5) は61.5±9.2%, これらを通過しないRoux-Y犬 (n=9) は45.3±9.1%であった.
以上より, 空腸上部は十二指腸とともに, secretin, CCKを介して膵外分泌を刺激する重要な部位と考えられた.

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