日本消化器外科学会雑誌
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黒色胆石の成因とその臨床
鈴木 範美
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1984 年 17 巻 3 号 p. 517-526

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抄録
近年, わが国胆石症の西欧化現象によりコレステロール系石の増加はもちろんのこと, ビリルビン石灰石が減少し, いわゆる黒色石が増加してきたことは注目に値する. 黒色石はビ石灰石と異なり胆嚢で形成されて, その臨床像はむしろコ系石例に準ずるものである. また, 黒色石の成因に関しては, いまだ十分には解明されていないが, 溶血性黄疸, 肝硬変症, 心弁置換術例などに黒色石の合併が多いことから溶血や肝障害が誘因の一部として関与しているようである. 胆汁中のビリルビンは細菌性β-グルクロニダーゼの作用を受けることなく黒色の重合体を形成し, またCuやFeならびに無機カルシウム塩などの関与において黒色石が形成されるようである.
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