日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
閉塞性黄疸の病態に及ぼす内因性endotoxinの影響
特に無菌動物を使用して
山田 智彦
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 18 巻 1 号 p. 97-104

詳細
抄録

閉塞性黄疸に際しみられる内因性endotoxin (Et) 血症の生体障害作用を検討するために, 無菌および普通ラット計100匹を用いて, その総胆管を結紮し, 術後2, 5, 7日目に血中Et, 血清補体 (CH50), 肝機能および糖代謝能を測定した.血中Etは普通群でのみ出現し, 7日目で門脈血75%, 大動脈血69%と高い陽性率であり, 補体値は両群とも低下するが, Et陰性例では陽性例と異なり, 無菌群と同様の回復傾向を示した.肝糖代謝能は無菌群とくらべ, 普通群では明らかに障害されていた.すなわち, 閉塞性黄疸の際高率にみられるEt血症により補体は消費されるとともに, 肝予備能や糖代謝能は少なからず障害をうける事実の一端を明らかになしえた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top