1986 年 19 巻 5 号 p. 963-968
1946年から79年までに癌研外科で治療した直腸癌単発根治手術のうち側方転移を有した97例を用いて, 内腸骨動脈系リンパ節を上膀胱動脈分岐部を境に根部と幹部に分類して, 転移部位別に転移頻度, 上方向転移との相関, 5年生存率について検討を加えた.その結果, 内腸骨根部と幹部リンパ節ともに転移が存在する場合は, そのいずれかにのみ転移が限局している場合に比べ, 癌の選行度が一段階進んでいると考えられた.さらに, この臨床成績から2つの内腸骨動脈系リンパ節への転移経路が想定できた.