1986 年 19 巻 8 号 p. 1683-1688
食道再建に用いた亜全胃の排出能をみるために, 99mTc-Sn colloidによる胃管内容排出時間を測定した.術後1~2ヵ月と6ヵ月以上の23例 (後縦隔11例, 胸骨後経路12例) の胃内容排出曲線, 50%排出時間, 幽門形成術付加の影響, 術後摂食状況などについて検討した.その結果, 胃内容排出曲線は, slow, delayed, rapid typeの3型に大別できた.後縦隔では胸骨後に比べ排出時間は遅延した.幽門形成術付加の有無による排出時間に有意差はなかった.術後摂食状況は, slow, delayed, rapid typeの順に愁訴は少なかった.胸腔内再建胃管に食物が停滞すればする程, 愁訴が増すと考えられ, 食物移送を重視した, より細い胃管が望ましいと推察された.