抄録
Oddi括約筋の胆道生理上に果す役割について検討するとともに胆道drainage手段としての経十二指腸括約筋形成術 (TSP) 症例の長期follow upを行いその有効性を再確認した. すなわち臨床例により胆汁排出におけるOddi筋のperistaltic pump説の誤りであること, またOddi筋とmigrating motor complexとの相関を観察することにより同筋の十二指腸よりの独立性をそれぞれ明らかにした. さらにOddi筋に対する各種消化管ホルモンの作用を明らかにするとともに, 摂食時におけるOddi筋運動の多様性をscintigraphyにより具体的に明示した.
TSP施行後3年以上経過した胆膵疾患117例の長期follow upによりその有劾率は83.7%であることを述べた.