1987 年 20 巻 4 号 p. 904-908
教室で経験した膵頭十二指腸切除術151例のうち, Child法に準じた消化管再建術を施行した149例について術後の病態, 社会復帰状態について検討した.広範囲胃切除の併施により本術式後の消化性潰瘍の発生は予防できると考えられた.本術式では消化管ホルモンの宝庫が切除されることになり, 術後早期には, 各種消化管ホルモンの分泌低下, 膵内外分泌機能の低下とそれによる代謝異常が生ずるが, 残膵機能保持に細心の注意を払うことにより, Child法再建による膵頭切除術では比較的質の高い術後の社会生活が期待できるものと思われた.