日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
空置幽門粘膜残存による吻合部潰瘍の病態生理に関する検討
佐藤 浩一渡部 洋三津村 秀憲巾 尊宣能美 明夫佐々木 浩大久保 剛矢吹 清隆森本 俊雄石井 康裕百瀬 隆二矢ヶ崎 喜三郎織畑 道宏岡原 由明小野 精一榊原 宣
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 21 巻 1 号 p. 11-19

詳細
抄録
教室で経験した胃切除後吻合部潰瘍26例を幽門粘膜空置群5例, 幽門腺 (+) 群5例および幽門腺 (-) 群16例に分けて検討した.幽門粘膜空置群の原疾患は全例十二指腸潰瘍であり, そのBAO, BAO/MAO比, basal gastrin値およびI-IGRは他の2群と比較して高値を示し, BAO/MAO比では, 他の2群との間に, basal gastrin値では, 幽門腺 (-) 群との間に有意差 (p<0.05) が認められた.以上のことより, 吻合部潰瘍症例において, 原疾患が十二指腸潰瘍で, かつBillroth II法吻合による胃切除術後で, BAO, BAO/MAO比, basal gastrin値およびI-IGRが高値を示す症例は幽門粘膜空置による吻合部潰瘍を強く疑う必要があると考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top