1988 年 21 巻 8 号 p. 2099-2105
昭和46年より昭和60年までの15年間に十二指腸潰瘍穿孔64例に対して, 緊急手術として各種の迷切術 (SV兼幽門洞切除術1例, SV兼幽門形成術15例, SPV兼幽門形成術48例) を施行した. 術後合併症は2例の急性腎不全を除きいずれも軽症であった. 手術死亡は1例で死亡率は1.5%であった. 術後再発は2例で再発率は4.6%であった. われわれの症例の分析から, 1) 発症より手術までの時間は24時間以内が望ましく, 2) 重症の術前合併症のある場合, 3) 70歳以上の症例においては慎重な対策が必要であるが, 緊急手術施行時にも根治的手術を兼ねて迷切術が安全になされうると考えられた.