日本消化器外科学会雑誌
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肝疾患における免疫組織学的研究
とくに胆汁IgAとの関連性について
味元 宏道鬼束 惇義林 勝知広瀬 光男
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1988 年 21 巻 8 号 p. 2106-2113

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抄録

肝内におけるsecretory component (SC), IgAおよびJchainの分布を正常肝, 肝外閉塞性黄疸, 肝硬変および肝内結石症のパラフィン包埋肝を用い, Avidin-Biotin peroxicase complex (ABC) 法で検索した. 肝内胆管系では三者とも, 肝硬変と肝内結石症で有意に高度かつ広範に分布していた. 肝細胞では有意な染色性の差違はないが, 肝硬変と肝内結石症ではIgAとJchainの強い沈着を認めた. 胆汁IgA濃度は対照群で22.3±2.17mg/dlであり, 胆道感染あるいは肝硬変ではそれぞれ56.9±11.8, 57.0±14.21mg/dlであり, 有意に上昇していた. 以上より, 胆道感染あるいは肝硬変では胆汁IgA濃度は上昇し, 主に肝内胆管上皮でのSecretory IgAの分泌亢進がこれに関与している.

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