1990 年 23 巻 12 号 p. 2741-2746
昭和52年から昭和58年の7年間にOK-432の腹腔内大量投与の38例と同期間の非投与159例とを対象に術後生存期間に影響を与える因子を分析するため, 性別, 年齢, 癌の肉眼型, 肉眼的肝転移の程度, 腹膜播種性転移の程度, 組織学的リンパ節転移の程度, 組織学的分類, 深達度, 組織学的進行度, 郭清度, 根治度, OK-432投与の右無の12項目を検討した.層別化による分析では背景因子に偏りが大きいために, 重回帰分析であるCoxの比例ハザードモデルを用いて分析した.その結果, 寄与率からみて, 癌の肉眼型, 腹膜播種性転移の程度, 組織学的リンパ節転移の程度, 郭清度, 根治度などが主要な予後因子であった.しかしながら, OK-432腹腔内投与の影響は検出されなかった.したがって, 進行胃癌や腹膜播種性転移を有する症例では, 癌巣の完全な摘除と十分なリンパ節郭清による根治手術を行うことが重要と考えられた.